
はじめに
会社の事業や顧客層が変わり、現在のブランドカラーに違和感を持つことがあります。以前は合っていた色が今のサービスには重く見える。Webサイトでは読みにくい。制作物ごとに少しずつ違う色が使われ、どれが正式な色か分からない。その一方で、長く使ってきた色を変えると、会社らしさや既存顧客からの認知まで失われるのではないかと心配になるかもしれません。
ブランドカラーは一度決めたら永久に変えてはいけないものではありません。ただし、「古く感じる」「別の色が流行している」といった印象だけで変更すると、ロゴ、Webサイト、会社案内、営業資料のつながりが崩れ、かえって会社の見え方が不安定になることがあります。
結論からいうと、ブランドカラーを変える前に、①現在の色で何が問題なのか、②これまでの認知や会社らしさのうち何を残すのか、③どの接点まで変更するのか、の3点を確認します。選択肢は全面刷新だけではなく、今の色を残して使い方を整える方法や、明度・彩度、補助色だけを調整する方法もあります。
この記事では、会社のブランドカラーやコーポレートカラーを変えるべきか迷っている方へ、変更を検討するサインと、ロゴ・Web・会社案内へ無理なく反映する順番を紹介します。
ブランドカラーは変えてもよいのか
ブランドカラーは、企業やサービスを認識しやすくし、複数の接点で同じ会社らしさを伝えるための要素です。しかし、会社の価値そのものが色だけで決まるわけではありません。事業内容、顧客との関係、働く人、言葉、実績などがあり、それらを視覚的に支えるものとして色があります。
そのため、事業の変化に合わせて色を見直すこと自体は問題ありません。大切なのは、色を変えることを目的にせず、現在生じているずれや使いにくさを解決する手段として判断することです。
これから新しく色を選ぶ場合の基準は、「ブランドカラーの決め方|印象・可読性・運用から考える5つの基準」で紹介しています。本記事では、すでに使っている色を残すか、変えるかという判断に焦点を絞ります。
変更を考えたい5つのサイン
1.事業内容や顧客層が変わった
創業時から事業の中心が変わった、新しい顧客層へ広げたい、BtoC中心から法人向けへ変化したなど、会社の実態と見せ方が合わなくなっている場合です。現在の色が間違っているというより、色を決めたときの前提が変わっていないかを確認します。
2.ロゴ、Web、営業資料の色が揃っていない
制作時期や担当者が異なり、媒体ごとに似た色を目分量で使っている状態です。全面的に別の色へ変える前に、正式な色と用途を決め直すだけで整う場合もあります。
3.文字やボタンとして使うと読みにくい
ロゴでは美しく見える色でも、Webサイトの小さな文字やボタン、図表へそのまま使うと、背景との明度差が不足することがあります。ブランドカラーと、情報を読ませるための画面上の色は、役割を分けて設計できます。
4.Webと印刷物で色の印象が大きく変わる
画面で鮮やかに見える色が、印刷すると沈んで見える。紙や素材によって再現が不安定になる。このような場合は、代表色を捨てるのではなく、媒体別の指定値や許容範囲を整える方法があります。
5.会社として目指す印象を説明できない
「以前からこの色だから」という理由だけが残り、現在の会社が何を大切にしているかと結び付いていない状態です。ただし、担当者が飽きたことや、競合が別の色を使い始めたことだけで、変更を急ぐ必要はありません。既存顧客がその色を会社の目印として認識している可能性も含めて確認します。
色だけでなく、会社の方向や顧客との関係まで変わっている場合は、「中小企業がリブランディングを考える5つのサイン|ロゴ・Web・会社案内を見直す順番」も判断材料になります。
残す・調整する・刷新するの3つから選ぶ
ブランドカラーの見直しは、現在の色を別の色へ置き換える二択ではありません。課題の大きさと、これまで積み重ねた認知に応じて、次の三つから考えます。

| 選択肢 | 向いている状態 | 主に見直すこと |
|---|---|---|
| 今の色を残す | 色の認知は活かしたいが、制作物ごとに使い方が違う | 色番号、補助色、背景色、使用比率、データ管理 |
| 色を調整する | 方向性は合っているが、読みにくさや再現性に問題がある | 明度・彩度、組み合わせ、媒体別の指定値 |
| 色を刷新する | 事業や顧客層が変わり、現在の印象とのずれが大きい | 目指す印象、ロゴとの関係、全接点への展開計画 |
どの方法を選ぶ場合も、単体の色見本だけで決めません。ロゴ、写真、書体、余白、言葉と組み合わせ、実際の画面や紙面で確認します。
ロゴ・Web・会社案内への影響を確認する
ロゴ|形と色を分けて考える
ロゴの形や基本色に問題がなくても、背景色や媒体に応じた使用ルールが定められていないために、見えにくさや使いにくさが生じる場合があります。そのときは、色やロゴ自体を変更する前に、基本色、白抜き、単色、濃色背景での表示、余白、最小使用サイズなど、ロゴ使用ガイドラインを見直します。ガイドラインを整えても現在の事業や目指す印象と合わない場合に、形を残して色だけ調整するのか、ロゴそのものを見直すのかを検討します。
Webサイト|ブランド色と機能色を分ける
Webサイトでは、ブランドらしさに加えて、文字の可読性、リンク、ボタン、エラー表示、選択状態などの分かりやすさが必要です。ブランドカラーをすべての文字やボタンへ使うのではなく、本文色、背景色、操作を示す色と役割を分けます。
会社案内・営業資料|印刷と更新頻度を確認する
紙では、CMYKや特色による再現、紙質、表面加工によって色の見え方が変わります。在庫が残っている会社案内、封筒、名刺をいつ切り替えるかも、デザインと同時に検討します。
看板・車両・制服|交換時期と費用を含める
WebやPDFは比較的早く変更できますが、看板、車両、制服、店舗什器などは交換に費用と時間がかかります。目に触れる頻度と更新時期を整理し、古い色と新しい色が併存する期間をあらかじめ決めておきます。
媒体ごとに同じレイアウトへ揃えるのではなく、共通する印象を保つ考え方は、「トーン&マナーとは?|ロゴ・Web・会社案内に一貫性をつくる5つの要素」で詳しく紹介しています。
ブランドカラーを見直す5つの手順
- 現在使われている色を集める:ロゴデータ、Webサイト、会社案内、営業資料、SNS、看板などを並べ、正式な色と実際に使われている色の違いを確認します。
- 変える目的と、残したい印象を言葉にする:若く見せたい、高級感を出したいといった表現だけでなく、事業や顧客との関係から、何を改善し、何を維持するのかを整理します。
- 性格の違う接点で試す:ロゴだけで決めず、Webの見出しやボタン、会社案内の表紙と本文、写真との組み合わせなどで確認します。小さな文字、白黒印刷、濃色背景でも試します。
- 変更する範囲と順番を決める:顧客が最初に触れるWebサイトから変えるのか、名刺の増刷時に合わせるのか。予算、在庫、更新予定から移行計画をつくります。
- 判断基準とデータを残す:HEX、RGB、CMYKなどの数値だけでなく、背景との組み合わせ、使用比率、避けたい使い方、データの保管場所と更新担当を共有します。
制作会社へ希望を伝えるときは、好きな色の画像だけでなく、現在困っている場面と、残したい会社らしさを共有します。デザイン要望の整理方法は、「ホームページのデザイン要望の伝え方|会社らしさを共有する」も参考にしてください。
すべてを一度に変更しなくてもよい
ブランドカラーを変更するとき、すべての制作物を同じ日に入れ替えられるとは限りません。顧客が頻繁に見る接点、情報更新の予定がある接点、在庫や費用への影響が小さい接点から段階的に変更できます。
| 優先度 | 接点の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 先に整える | Webサイト、SNS、PDF資料、提案書テンプレート | 閲覧頻度が高く、比較的更新しやすいもの |
| 更新時期に合わせる | 名刺、会社案内、封筒、営業資料 | 増刷や改訂の時期と合わせ、廃棄を抑えるもの |
| 計画して切り替える | 看板、車両、制服、店舗什器 | 費用や施工期間が大きく、交換計画が必要なもの |
移行期間には、新旧の色が混在してよい範囲と、必ず統一したい接点を決めます。社外向けには変更の理由を大げさに説明する必要はありませんが、事業やサービスの変更と関係する場合は、Webサイトやお知らせで背景を短く伝える方法もあります。
変更後の色を社内外で使い続けるための項目は、「中小企業にブランドガイドラインは必要?小さく始める7項目」で整理しています。
よくある質問
ブランドカラーは何年ごとに変えるものですか?
決まった年数はありません。古さだけで変更するのではなく、事業や顧客層の変化、媒体での使いにくさ、会社として目指す印象とのずれを確認します。周年は見直すきっかけになりますが、変更そのものを目的にする必要はありません。
ロゴの形を残して、色だけ変えてもよいですか?
可能です。ただし、現在の色がロゴの識別や意味に強く関係している場合もあります。基本色だけでなく、白抜きや単色での使われ方、既存顧客からの認知、商標や使用ルールも確認したうえで判断します。
Webサイトと印刷物は同時に変更する必要がありますか?
必ずしも同時でなくて構いません。顧客がよく見る接点から変更し、印刷物は改訂や増刷、看板などは交換時期に合わせる方法があります。ただし、移行中に使う色と期限を決め、どれが正式なデータか分かるようにします。
まとめ|色を変える前に、残すものを決める
会社のブランドカラーは、必要に応じて変えることができます。ただし、別の色へ置き換えることから始めるのではなく、現在の色で起きている問題、これまで積み重ねた認知、今後伝えたい会社像を確認することが先です。
今の色を残して使い方を整える、明度や彩度、補助色を調整する、基準となる色から刷新する。課題に合う方法を選び、ロゴ、Web、会社案内、看板などへの影響と移行順序を決めます。
CUREでは、最初からブランドカラーの変更やロゴの刷新を前提にせず、現在使われている制作物と、事業や顧客の変化を確認します。そのうえで、残す要素、調整する要素、作り直す範囲を整理し、ロゴ、Webサイト、会社案内などの接点へ展開します。
「現在の色に違和感はあるが、変えるべきか判断できない」「ロゴは残しながら、Webと会社案内の印象を整えたい」といった段階でも、ブランドデザインについてご相談ください。
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