トラウトフィッシングの老舗ルアーメーカー“アングラーズシステム”のコーポレートサイトリニューアル。
Angler’z System
2023
アングラーズシステムは、トラウトスプーンにこだわり続ける専業メーカー。自然渓流や本流を対象とした「Native」、管理釣り場を対象とした「Area」という2つのカテゴリーを軸に、トラウトフィッシングの世界におけるシチュエーションに応じて最適化されたスプーンを展開しています。いずれの製品も、実釣性能と職人技を両立する仕上がりで、長年にわたり多くのアングラーから厚い信頼を集めてきました。
前回のWebサイトは約20年前に構築されたまま、更新がほとんどできない状態が続いていました。製品追加や情報整理が難しく、スマートフォンにも非対応。結果として、ブランドの哲学や製品群の多様性がWeb上で十分に伝わらない状況が長らく続いていたのです。とりわけ、スプーンはシンプルであるがゆえに、ごまかしの効かない奥深いルアーです。わずかなフォルムの差や重心設計が泳ぎに直結し、使い手の意図をそのまま反映します。だからこそ、各モデルの役割や特性を正確に伝える設計が求められていましたが、旧サイトでは情報が分散しており、目的の製品にたどり着くのが困難な構造となっていました。さらに、展示会情報などの発信はFacebookに限られており、Webサイト上での連携や誘導が不十分でした。
今回のリニューアルでは、製品の魅力を正しく、立体的に伝えることを主軸に、以下の点を重点的に設計しました。
1. 製品構成の視覚的整理とカテゴライズ
「Native」「Area」という大分類を基点に、モデルごとの情報やスペックをひと目で把握できるよう整理。一覧性と比較性を重視した設計とし、ユーザーの目的に応じたスムーズな導線を構築しました。
2. スマートフォン対応を前提としたUI設計
釣行時の閲覧ニーズも想定し、あらゆるデバイスで視認性と操作性を保てる設計を採用。余計な装飾を排し、製品そのもののディテールや意図が際立つデザインにまとめました。
3. CMS導入による更新体制の内製化
WordPressによるカスタム投稿設計を行い、社内での製品更新・展示会情報発信が容易に。運用面でも無理なく続けられる設計としました。
4. ブランドの世界観と言葉の統一
スプーンという“凝縮された世界線”の奥深さを体現するよう、配色・余白・構成に一貫性を持たせました。言葉もトーンを整え、製品の精度と誠実な姿勢がにじむ設計にしています。
今回のリニューアルでは、単に情報を並べるのではなく、“アングラーの感覚に響く構造とビジュアル”を重視しました。ごまかしの効かないスプーンに真摯に向き合うメーカーとして、その製品哲学やこだわりが正しく届くサイトへ。アングラーと製品、そしてブランドをつなぐ接点として、今後の運用を見据えた再構築となりました。